【横浜カルバリーチャペル】 ぶどうの木
 
2016年10月9日

「 The 匠 」

欧米の新聞には、Obituariesと呼ぶ「死亡欄」と、Birth Columnと呼ぶ「誕生欄」がある。ある人が朝刊を読んでいると、何と自分の名前が「死亡欄」に掲載されていた。驚き怒った彼は新聞社に赴き、自分の名前がある「死亡欄」を編集長に見せ「私はこれこの通り元気に生きているではないか!どうしてくれるのだ?」とまくしたてると、困り果てた編集長が「では、明日の朝刊『誕生欄』にあなたのお名前を載せましょう。そうすればあなたは明日から新しい人生をスタートできますから」と言った。

毎年10月は「ノーベル賞受賞者」発表の季節である。その発端となったスウェーデン人アルフレッド・ノーベルは、ダイナマイトの発明者として知られるが、彼はもともと平和利用の為にダイナマイトを発明したが、それが人を殺す兵器と利用された事に深く心痛めた。そんな彼がある日新聞を読んでいると、自分が死んだ記事があるではないか。新聞社が彼の兄をノーベルと取り違えてしまったのである。見出しには「死の商人死す」とあり、本文には「アルフレッド・ノーベル博士:可能な限りの最短時間でかつてないほど大勢の人間を殺害する方法を発見し、富を築いた人物が昨日死亡した」とあった。自分がどう評価されているのかを見たノーベルは、その莫大な富を人類の平和と発展の為に用いようと、財産の94%を捧げてノーベル賞のファンドとしたのである。死を命へ、マイナスをプラスへ変えたノーベルのスピリット。これこそ「万事、相働きて益となる」(ローマ書8:28)という聖書の教えであり、神に創られた人の内に働く神の力である。

先週、ノーベル医学生理学賞を受賞された東工大教授・大隈良典博士で、日本人受賞者は25人目となる。1949年の湯川秀樹博士以来、51年間で8名だった受賞者が、21世紀には16年間で17人と毎年平均1名以上と急増している。しかもその全てが自然科学(物理・科学・医学・生理学)である。それは何十年という長い歳月をかけ、諦めずに結果を、夢を追い続けた実であろう。ラーメンやアニメにさえ見られる究極を追い求める日本人の「匠」の精神の現れであろうか。ならば、日本人キリスト者も神の国の「匠」として輝けるはずである。