【横浜カルバリーチャペル】 天の窓
     
2018年9月2日

「 防災を忘災とせず 」

昔、パリのルーブル美術館が、宣伝の為広告を出した。「もし、ルーブルが火事になって、作品を一つだけ持って逃げられるなら、あなたは何を選びますか」。皆さんはいかがでしょう。モナリザ?ナポレオンの戴冠式?ミロのヴィーナス(逃げるには重すぎるかも)?さて、コンテスト優勝者の答えはと言えば、「出口に一番近い作品」(笑)。そう、火事なんですから!

以前、フランス人作家/画家のジャン・コクトーが、同じように、アトリエのある自分の家が火事となったら何を持ち出す?と聞かれて、彼は「火」と答えた。なるほど、火を持ち出せば何も失わない訳であるが、どうも、彼が言いたかったのは、アーティストとしてパッション、即ち、情熱の炎を失ったら芸術家として終わりなので、火(情熱)を持ち出すと答えたのではないかとも言われている。

昨日の9月1日は「防災の日」で、今日は、年一度の「避難訓練」がこの教会でも第二礼拝の最後で行われる。この日は、1923(大正12)年9月1日に発生して10万人以上の死者を出した「関東大震災」にちなんで制定された。震源地はここ相模湾沖、時間は昼の11:58なので、日曜日なら私達はこの礼拝堂にいた事になる。教会防災委員の皆さんはミーティングを重ね、避難訓練実施だけでなく、水や乾パンなどの非常食常備など、「防災を忘災」にしない為に日ごろから努力して下さっている。

今日は、地震想定の避難訓練であるが、主は「私が来たのは、地に火を投じる為である」と言われた。それはコクトーと同じく「あなたがたの心が燃えていたならと、私はどんなに願っているか」との意味である。災害の炎に備えながらも、私達の心にある主への熱い炎が消える事のないようにと願う。牧師が一つ持ち出せるとしたら何を選ぶ?聖書?十字架?献金箱?いいえ、それは「出口に一番遠い神の作品・あなた」であるからご安心あれ!