【横浜カルバリーチャペル】 天の窓
     
2019年2月10日

「タクシーに乗車された神」

アメリカのジャーナル誌に、ワシントンDCのタクシードライバー、パーシバル・ブライアン氏の記事が載っていた。ブライアンは若い頃、難民としてジャマイカからボートで海を渡った。その後、彼は50年以上タクシードライバーとして、合計8台のタクシーに10万人を越える乗客を乗せたという。彼は当初より、乗車したお客さんにゲストブックへのサインをお願いして来た。その312冊のゲストブックが、アメリカを代表するスミソニアン博物館(Washington D.C.)に展示されている。そこには歴代のアメリカ大統領、ハリウッドスター、歌手、ノーベル賞受賞者など、多くの有名人達のサインやコメントが記されている。半世紀に渡る激動の時代を通ったアメリカという国の歴史や空気が肌に感じられるのである。

クリスチャンであるブライアンはとても親切で明るく、乗車した誰もが降りる時には元気づけられ笑顔になるという。ある深夜、彼を襲った二人組の強盗でさえ、降りる時には奪ったお金を彼に返しゲストブックにサインしている。ある時、「あなたのこのエネルギーはどこから来るのか?」と聞かれて、「私は毎朝、この手や足、この耳や口を、イエス様のものとして献げ、祈ってから仕事に出るのです。するとその日一日、様々な人々と出会う時、この心もイエス様の心のように愛や憐みが溢れて来るのです。今日この人に、私ができるベストを尽くそうとすると、主の知恵と力が溢れてきて、それがこの50年間の私の喜びとなっているのです」と答えた。

今、ブライアンは主と共にある。彼がこの地に残した312冊のゲストブックは、彼のタクシーにイエス様が一緒に乗っておられたことを告げている。ひとりの難民タクシードライバーが残してくれたこの愛、この心こそ、今のアメリカが、そして私達が、失ってはならない大切なものなのである。

昨年2月27日、同じく主の許に帰られた古谷隆兄の生涯にも、主イエス様が乗車しておられたことを牧師である私は証言できる。一日一歩、主と共に歩み生きる者の素晴らしさと喜びを、彼も、愛する私達に残して逝かれたのである。だから、今の私達にも失ってはならないものが多くある。